2005年03月29日

受験英語の勉強法2

今回は、主に英語の参考書について書いてみます


受験英語の参考書

どんなものを使えばよいか、という観点から書いてみます。高校受験の場合、幸か不幸かほとんどの参考書は横並びで特にどれが良い、というものはないので、ここでは大学受験に絞らせて頂きます。

さて、大学受験の場合は、高校受験と違ってやたらと参考書や問題集の数が多い。さらに、質の高低も激しいから、どれを選べば良いのか分からないといった感想を抱く方も多いと思います。その中から役に立つものを中心に挙げていきたいと思います。

構文主義を打ち立てた伊藤和夫

英文の読解の仕方をほぼ初心者レベルから丁寧に教えてくれて、一気に有名私立大学受験レベルまで持っていってくれる先生、というとまず最初に駿台の伊藤和夫先生の名前を挙げなければならないでしょう。残念ながらもう亡くなられてしまいましたが、長く駿台の講師として主任を勤められたというのは有名な話です。伊藤先生は、駿台の英語の講義体系、というか受験英語の効率的な教え方の体系を作り上げたといっても過言ではないかもしれません。いまだに予備校の講師の大半が、その恩恵を受けていることでしょう。

その体系が一番見通しよく整理されていて、初級レベルから取り組める参考書といえば、「ビジュアル英文解釈」でしょう。要するに、伊藤先生の本の何が良いかというと、英語が分からない人間でも、英文を分解して小さな要素に還元することができれば、少なくとも「解釈」はできるということを教えてくれるのです。英文の構造がどうなっているのかを示して(だからビジュアル)、その分析を元に決められた順序で解釈し、訳していけば必ず読めるようになる、というシステム(あるいはマニュアル)を作り上げたのです。

さらに、伊藤先生は、単語や文法といった暗記ものから入っていかないで、ダイレクトに英文(というか英語長文)の読み方を教えてくれます。単語やイディオムや文法は、そうした実践のなかで身についていくだろう、という考え方なのです。従って、これらを全て個別に勉強していかなくても、伊藤先生の本で英文解釈さえ身に付けてしまえば、総合的な力をつけることができます。つまり、このブログでも繰り返して主張しているように、勉強の最初から単語帳に手をつけることなどないのです。

ですから、英語の受験に取り組んだら最初に伊藤先生の本を読むことをお勧めします。和訳をさせながら説明していく問題集のようなスタイルの本と、とにかく最初から最後まで体系的に英文の読み方を教えてくれる本とがありますが、後者がオススメです。先ほど挙げた「ビジュアル英文解釈」のような本ですね。さらに言うと、この上下巻の二冊を読めば、あとは伊藤先生の本を読む必要はないと思います。これを読み終えた時点からは、なるべく大量の英文に取り組んでいればどんな長文が出ても怖くないはずです。

一応単語帳にも触れておきましょう

ちょっとわき道にそれますが、単語帳にも触れておくことにしましょう。まず、特にオススメだというものはありません。どれもこれも似たり寄ったりだと思います。「TARGET」が良いとか言われていて、多くの受験生が使っているようですが、正直に言うとそこまで良いものだとは思いません。普通程度です(と言って、私自身も一応使っていたのですが…)。ただ、10年ほど前の内容と比べて、掲載されている英単語がより標準的になったような気がします(昔はもうちょっとマニアックな単語が載っていたような…?私が持ったいたものはとっくに処分してしまいましたので確認のしようがないのですが)。そういう意味では改善されているのかなぁ、と思います。

もう一つ有名なものを挙げると、Z会の「速読英単語」ですよね。個人的には、これを単語帳だとは呼びたくないのですが…、まぁ要するに結構良い本だということです(婉曲的な表現ですいません)。英文を読みながら単語を覚えていく、というのは理想的な勉強法だと思うし、そういう意味ではこの本のコンセプトはなかなか気に入っています。最初から直接英文を読むよりは、付属のCDを何度も回して自然と英文を頭に入れた方が良いと思います。イディオム編と併せればシリーズ計3冊になりますが、これを軸に受験勉強を進めていくのも悪くはないです。

あと、「ほりたん」とかありますけど、読んでいないのでしばらくはノーコメントで(笑)。さっそく読んだ、という人がいると教えてくれるとありがたいですね。^^

とにかくしばらくは英語長文の練習をしよう

そういうわけで、単語帳よりは英語長文をなるべく数多く読んだ方が良いです。オススメはZ会のものと、桐原の薄いもの。どちらも良いのですが、個人的にはZ会の方がより質が高いと思っています(色んな意味で)。何故かというと、Z会は勉強に取り組む人間がなるべく便利に扱えるように参考書や問題集を作っている(と思える)からです。例えば「英文解釈のトレーニング」は、英文とその解説(かなりぶ厚い)が別冊になっていて使いやすいし、古典的な名文と言われていて実際のところはあまり役に立たない英文よりは実用的な(かつ現代的な)英文が掲載されているところが非常に良いです。しかし、いかんせん、春からZ会の本に取り組むのはよほどできる受験生でないと難しすぎます(個人的には、あそこまでハイレベルに凝り固まる必要もなかろうと思います。非常に惜しい)。

そういうわけで、最初に取り組むのは桐原が良いかな、と。ただ、桐原の参考書や問題集で、ちょっと嫌なのは英文にいちいち問題がついているところです。とにかく読解の練習をしたいのに、英文の途中にカッコがついていて穴埋めをさせるとか、その他不要な問題が若干多いかなという感じですね。純粋に読む練習をするときには、こういうのは結構邪魔になります(そういう部分でもZ会は不要な問題が少なく評価できるのですが)。なるべく、問題のついていない長文の練習だけという趣旨の本を買いましょう。

それと、もう既にお分かりかと思うのですが、「英文の解釈を教えてくれる参考書」と「英文を読む練習をするための問題集」とは性質が全然違います。前者は、先ほどあげた伊藤和夫の「ビジュアル英文解釈」や富田一彦の「英文読解100の原則」のような本で(伊藤先生の方がより一般受けしやすいはずです)、読み方や英語の構造を教えてくれます(もう少し応用的なものとして「横山ロジカル・リーディング講義の実況中継」がありますが、かなり難しいと思います)。後者は、要するに単なる「素材」としての英文が掲載されていて、解説を読みつつ進めていくものです。従って、後者のような本を使う場合、英文の構造を一々紐解いてくれるような解説が必要なのですが、そういう点でもZ会のものは合格で、桐原のものはやや物足りない。桐原の解説は和訳中心で、自分が意味を取れているかどうかを確かめるのには良いですが、英文の解釈が分からないときにどうすれば良いんだという部分があります。

ですから、桐原の問題集に関しては、とにかく「英文の素材」を買うような感覚ですね。「標準英文速読」のような薄い本を、最もやさしいレベルから始めて、こなしていくと良いと思います。

あと、英文を読むときの練習として、旺文社の「基礎英文問題精講」のような本(やシリーズ)を挙げる方もいますが、素材となる英文がやたらと古いのであまり実践的ではない気がします(あくまでも英文の構造を掴むために使うのは良いですが、なんか回りくどい書き方の英文が多かったような…)。私も使ったことがあり、もちろん役には立ったのですが、本のサイズとしても小さすぎるし、Z会の「英文解釈のトレーニング」のような本には及ばないという気がしてしまいます。

突っ込んで言うと、もうちょっと言及したい本もあるのですが、まだ導入編ということで、この辺りにしておきます。また次回。



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