2005年03月20日

過去問の正しい使い方とは

過去問をこう使えば上手くいきます


解答と解説を書き写す

これは私自身の方法論(そんな偉そうなもんじゃないですけど)なのですが、私が問題集を使うときは、問題を解こうとしないで、先に答えを読んでしまいます。そして、問題のところに、解説を書き写すんです。これはどうしてか。解こうとする時間が勿体ないからです。誤解を恐れずに言ってしまえば、すいすいと問題を解いていけるようなら、なにも問題集を使う必要はないわけです。問題を解く実力がないからこそ、問題集を使っているわけで、そうすると元々解けるわけないんだから「先に答えを読んじゃおう」という発想になるんです。この辺りは人によって異論のあるところだと思うし、私にしたって毎回そういう風な使い方をしているわけじゃないんですけどね。

どうしてこういう話をするかというと、やっぱり過去問の場合は、答えを見ながら進めていく勉強法が有効だと思うからです。現在の時点で解いてみても1〜2割くらいしか解けないのだからそれほど意味はない、と以前のエントリーで言いましたが(「過去問が解けません?当たり前ですよ!」)、要するに、現時点では過去問に書いてある内容の8〜9割は理解できないわけですよ。だから、解いてみても疲れて嫌になってしまうし、最悪途中で放り出して過去問のことはすっかり忘れてしまう、ということになりかねないわけですね。

だからですね、まずはご自分が買ってきた過去問の一年分の問題を、解答と解説を書き写しながら読んでください。これだと分からなさ過ぎて嫌になることはないでしょう?だって答えが読めるわけですから(笑)。一応問題編と解答編が別冊になっているものもありますが、そういうタイプでなければ、問題編を拡大コピーしておくと書き写す時に便利ですよ。他に、この作業を進めるときの注意点として、

  • 暗記ものの問題は放っておく
  • 自分の比較的得意な科目を中心に進める
  • 解答の意味が分からなくても必要以上に気にしない
  • もし、解答の意味が丸っきり分からなければ作業を中断する(対処策については別のエントリーで書く予定です)

こうしたことを挙げておきます。まず、社会(世界史・日本史)などの暗記ものについては、とりあえず置いておきましょう。もちろん、最後まで放っておくわけではないのですが…、対処法については後ほど言及します。それと、その他の注意点については、要するに「今の自分が解説を見てなんとか理解できるもの」にだけ手をつければOKだというわけです。

そもそも解答と解説を書き写す必要は?

では、何故、解答と解説を書き写す必要があるのでしょう。それは、過去問の問題編を、力を試すために使うのではなくて自分の理解の道筋をつくる手掛かりとして使ってほしいからなんです。私が、解答と解説を書き写してください、といったとしても、それを単に機械的に書き写してしまう人は少ないでしょう。やはり、自分が分からないポイントだけを書き写す、あるいは自分にとって分かり易い書き方で書く、というのが普通ですね。要するに、あなたが問題のところに書き写した解説が、そのままあなたがその問題を解けるようになるまでの道筋になっているはずなんです。そうした作業を入試直前まで続けて、最後に赤本をあなただけの参考書に作り上げてほしいのです。あるいは解説を書き写すだけでは物足りない場合は、あなたが赤本の問題を理解できるようになるまでの過程を、他の参考書から引っ張ってきた解説を中心にノートにまとめるのも良いでしょう。

これらの資料を入試の一週間まえや2〜3日前にざっと見直せるとしたら、便利だと思いませんか?直前にまとめ集的な参考書を買う必要はありません。今から、あなたが入試直前に見直しておくべき「あなただけのTO DO リストと解説」を作ってしまえばよいのです。

要するに、これはゴールから考える発想なのです。あなたが志望校に合格するためには、入試の一日まえにどんな復習をすれば良いでしょう?一週間前はどうでしょう?そして、一ヶ月前、二ヶ月前…半年前…、という風に考えていってください。入試の一週間前や一日前に漠然とした「まとめ集」をざっと読んだところでどれだけ効果がありますか?「自分だけのまとめ集」を作って、それを短時間で見直すことができればかなり効果が上がるのではないですか?

いずれにせよ、今からあなたは、志望校の赤本を解けるようになるまでの理解の道筋を作っていかなければいけないのです。人によっては志望校のレベルに達するまでに「偏差値を10上げなきゃいけない」とか「英単語をあと1000語覚えなきゃいけない」とかいう目標を作るわけですが、これはちょっとあまりに漠然とし過ぎている(過去のエントリーに書いてきた通りです)。そして、場合によっては、極端な遠回りになってしまいます。そこを、過去問を参考にすることによって、もっと具体的な課題が出来てくるわけです、あなた自身の課題が。そして、正に毎年その学校で出題されている問題を素材にするわけですから、これが志望校までの最短ルートになります。あなたと志望校のあいだに直線で引いたルートを、あなたは通ることができるのです。そう思いませんか?

とりあえずその足がかりとして、解説を書き写しながら過去問に取り組んでいってほしい、と私は言っているのです。何もこうした作業が今の時点でスイスイ進むという風には私は思いません。解説を読める、といってもその解説すら理解できない場合が少なくないでしょう。でも現時点ではそれが当たり前です。重要なのは「それじゃあこの問題が解けるためには今からどういったことをすれば良いだろう」と、あなた自身が考えて、あなた自身の課題を見つけようとすることです。この作業はあなたにしかできません。そうですよね?

課題が見つかれば、参考書や問題集を使って理解の道筋を作るのです。そして自分のなかで理解が上がった、と思えば再び過去問に当たってみる。そしてまた課題を見つけて、参考書と問題集に戻る。ということを繰り返していけば良いんですよ。こうした取り組み方は、漠然と塾(や予備校)の授業を受けて、問題集を解いて、成績を上げようとしている、というのと比べて、ずいぶん効率が良さそうではありませんか?それに、しっかりと目標を睨んでいるから、これから受験勉強をしていく上でより高い意識も持てそうですね?

良さそうだな、と思ったら早速取り組んでみてくださいね。



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この記事へのコメント

1. Posted by おじさん   2005年03月20日 14:31
目標を睨んで勉強をすすめるのはいい方法です。
大学院の入試問題など、やはり難しい。
普段の勉強の延長で解けるとそりゃーさぞ楽しいめるでしょうが、
そんなことができるのはまれな存在だけ。
まれな存在も、当初から院試の問題を睨んでいたりもする・・・・

しかし、受験2ヶ月前くらいには、
残しておいて解いていない過去問(本番や大学入試用模試)を、
何も見ないで時間を測って解くことが、
私の場合楽しみでした。とくに、数学と物理と化学。

物理と化学は化学が苦手なので(細かい比や少数の計算)いかに時間内に2つ仕上げるのか、戦略を立て、本番では2時間化学をとき、
のこり30分で物理を躊躇なく即答できるものを解いて、うまくいきました。

理系の場合、問題を解く楽しみがあるので、答えを見ちゃう方法もいいけど、時間の許す限りはじめは自力で考えるのがいいと思います。
解答を読むだけでも初期のころは学力が必要なので、それで、勉強するべきことを発見するのは、効率的なので悪くありません。

最後は人生自問自答で問題を自分で作成し、じっくりと解答を作る能力が必要になってくると思いますので、基礎力は一歩一歩飛躍せず、
諦めず、しっかりつけましょう。とくに国家や会社を長期間にわたり信用しきれない現代のような時代には。
2. Posted by coconutscookie   2005年03月21日 05:02
コメントありがとうございます。
なるほど、東大に合格しておられるんですね。

答えを見てしまうかどうかに関しては、私もそれほど重要視はしていません。解いていない問題を残しておいて時間を測って解くのも、場合によっては良いでしょうね。その辺りは結構アバウトに考えているつもりです。

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